薬はなるべく飲まない方がいいですよね
もちろん、必要であればちゃんと飲んだ方がいいと思っています
高血圧な方にとって、降圧剤は非常に大切ですし
糖尿病で薬物療法している方にとって、服薬を行うことは非常に大切です
私自身も、春先の花粉症が辛くて、その時期は抗アレルギー薬に大変お世話になっています
全部の薬を否定するような強めな思想は決してないのですが
向精神薬(精神に作用する薬)については、少し思うところがあります
元々、精神科病院で働いていたので、向精神薬についてはある程度の知識はあるつもりです
知識だけじゃなく、どのように作用して、どんな副作用が出やすいかなど、臨床的な経験も少しはあります
医療から福祉の現場に移っても、向精神薬を内服している方がよくいます
向精神薬とは切れない運命にあるのだなって思います
今回は医療の現場でも、福祉の現場でも、切っても切れない向精神薬について、私の考えを書いていきたいと思います
(あくまで私の考えで、薬の医学・薬学的な内容は含みません)
夫婦喧嘩を例に
例えば、喧嘩をしている夫婦がいたとして
2人の頭の中は興奮状態で、脳内ホルモン(正確には伝達物質)が過剰に分泌されていると言えますね
それを通常の頭の動きに戻すのが、向精神薬だと思うのです
だけど、脳が通常に戻ったとしても、それで喧嘩の原因まで解決したとは言えないですよね
子供の教育方針に違いがあるのかもしれないし
夫が立ったまま排尿するのを妻が許せないのかもしれない
金銭感覚の違いがあるのかもしれない
色々な原因が考えられますね
そういう、根本的な喧嘩の原因を解決することが大切ですよね
薬で頭の働きが正常になったとしても、喧嘩の根本原因が解決されないと、喧嘩を繰り返すだけ
夫婦仲も改善せず、居心地の悪さが続くだけですね
不健全な家庭が続いていくだけです
根本の原因の解決が必要
夫婦喧嘩の根本原因の解決には、何度も話し合う必要があるのでしょう
それはすごく面倒なことなのだろうし、時間もかかることなのだと思います
(結婚してないから分かりませんが笑)
でも、ちゃんと向き合わないと、不健全な関係のままで、その後も幸せな生活は送れません
それと同じようなことが、精神障害の治療にも言えると思うのです
向精神薬が処方されて
睡眠薬で眠れるようにしたり
抗うつ薬で気分を上げたり
抗精神病薬で衝動的な行動が減らしたり
最近は発達障害に対しても、薬が処方されますね
先にも言いましたが、薬があることで報われている人もたくさん見てきたから
向精神薬の全てを否定する訳ではありません
だけどやっぱり、支援する側としては、薬の必要性は認めながらも
根本的な解決を時間かけてやっていく視点を、忘れちゃダメなんだと思うのです
例えば、実際に今の施設でやっていることを紹介すると
夜遅くまでスマホをいじってしまい、生活が不規則になる利用者さん
本人と話し合って22時以降はスマホをスタッフに預けるようにしています
その結果
生活リズムが整い、日中の活動先にも行けるようになりました。睡眠薬も減らすことが出来ました。
うつ病で活動が落ちてしまう利用者さん
少しでも一緒に散歩をすることで、太陽の光を浴びてもらって気分を上げてもらえうるように支援しています
その結果
今でも、気分の波で活動が落ちちゃう時はありますが、週に2〜3回は作業所に通えるようになりました。抗うつ薬の減薬はまだ出来ていないけど、徐々に行動が変わり始めています
薬以外でやれることはたくさんり、その人にあった支援の方法を探っていくことが
根本の原因解決になっていくと思います
「中枢神経に作用する」を考える
向精神薬は「中枢神経に作用する」薬です
降圧剤や糖尿病治療薬など、一般的な内科の薬は「身体に作用する」薬です
向精神薬は「中枢神経に作用する」つまりは脳に影響を与える薬です
脳に作用するということは、その人の思考や行動にも影響を及ぼすものです
憲法では内心の自由が保障されています
何を考えていても、その人の自由という訳です
思考に手錠はかけられません
向精神薬は脳に作用する薬ということで
その人の本来持っている思考にも多少なりとも影響します
何を考えても良いという自由が保障されている中で
思考に影響がある薬を飲んでいるということは、倫理的に考えていかなきゃいけないなって思います
やっぱり、できることなら減薬していくということも、ちゃんと考えないといけないですね
そのためには、やはり時間がかかっても、根本的な解決を支援者が考えていく必要があると思うのです
時間がたくさんかかることを覚悟して
変化が早くて、結果がすぐに求められる、忙しい世の中だけど
精神的な問題に対して、夫婦喧嘩の解決と同じように
時間をかけて取り組むことが大切ですね
それは覚悟がいることだと思います
向き合うということは、非常に労力のかかることだし
すぐに変わらないことに、ジレンマを感じることもあるでしょう
実際に、眠れない利用者さんがスマホを預けて夜眠れるようになるまで、何度も話し合って本人とルールを決めていきました
だけど、しっかり向き合う姿勢を持って関わり続けていれば
誠意が支援対象者に伝わって、少しずつ変わっていくのだと思います
実際に、変わるのが難しいと思っていた方が、時間をかけて自身の行動を変えていって
薬も徐々に減らして行った例を見てきました
時間はかかるかもしれないけれど、かけた時間が多い分だけ、喜びも大きくなるものです
なるべくなら飲まなくてもいい薬を少しでも減らせるように
今日も元気に福祉に携わっていきましょう(´∀`)