随想と雑記

障がい者グループホームで働く理由

 

私は現在、障がい者グループホーム(以下、グループホーム)で働いています。

グループホームって、初めて聞いた方もいるかもしれませんね。
グループホームとは、障がいのある方に対して、生活の場を提供する福祉施設です。

今は、グループホームを運営する会社の社員として働いています。
会社で働きながら学び、1年後に独立したいと考えています。

立ち上げのためには学ぶことが非常に多く、日々邁進しております(*´-`)

 

福祉の仕事は、これと言った正解がなく迷うことが多いです。
答えのない問題が本当にたくさんあります。

上手くいかないことも多く、初心を忘れてしまいそうになる時もあります。

そんな時に、過去の自分がどんなことを思っていたのか
どんな思いで働いていたのか
初心を思い出せるように、このブログを立ち上げました。

このブログの最初の投稿として
「なぜ私が障がい者グループホームで働くのか」
その理由を書いていきたいと思います。

 

 

精神科病院で働いていたこと

私は元々、精神科病院で看護師として働いていました。

なぜ、数ある診療科の中で精神科を選んだのか、それも後々書いていきたいと思います。

敢えて1つだけ、精神科を選んだ理由を挙げるとしたら
精神疾患になる人の気持ちが、分かるような気がしたから
これかなって思います

そして、気持ちが分かるような気がしたから
もしも自分が精神疾患になった時に、誰かに支援してもらいたいなって思って
精神科で働くことを決めました。

精神科病院のイメージってあまり良くないですよね。

精神科病院で働いていたって言うと
「牢屋みたいなところでしょ?」的なことを決まったように言われます。

いま時、そんな古風な精神科病院なんてないんですけどね笑
一般的な病院と変わらないくらい、綺麗な精神科病院もあります。

建物は新しくて、そこで過ごすこと自体が、苦痛になることはないと思います。

だけど、建物は新しく変わったとしても
治療はまだまだ、変えていく必要があるんじゃないかなって思います。

 

長期入院について

なぜ、精神科の治療を変えていく必要があると思っているのか
以下のデータが日本の精神科医療の問題となっている点です。

少し古いデータとなりますが、平成27年の精神科平均在院日数は271日となっています。

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000462293.pdf
厚生労働省 最近の精神保健医療福祉施策の動向について より

長いですね。
精神科に1回入院すると、平均で9ヶ月も入院するということです。

実際には、10年とか20年入院されている方がいて
その方々が平均日数を伸ばしているらしいですが。

それでも、やはり必要以上に入院している(させられている)ケースは見てきました。

長期入院する、と言うことは

晴れわたる空を見上げることも出来ないし。
四季を感じることも出来ません。

決まった時間に、プラスチックの皿に乗った食事を食べて
決まった時間に薬を飲むだけの生活です。

食事を食べたり、薬を飲んだり、それを与えられるがままに受け取るだけ。

夜は睡眠薬で意識を飛ばすように眠る。

それって、本当の意味で生きているのか?
と疑問に思いました。

せっかく生まれてきたのに、人間らしい生活が出来ないのって悲しいなって思いました。

 

地域で治療する選択

長期入院をしている患者さんは、必ずしも入院が必要なほど病状が悪い訳ではないのです。

適切な援助があれば、地域社会で生活をすることは十分可能な人もいます。

では、なぜ入院しているのか。

その理由は様々です。

・患者の家族が入院を希望して、半ば強制的な入院が続いるケース

・入院期間が長すぎて、本人が退院を希望しないケース

などなど。

だけど、私の体感としては
地域社会に受け入れ先がないことが大きな理由だと思っています。

実際に、退院が困難な理由として「居住・支援がない」という理由が33%となっています。
※平成24年度厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 「新しい精神科地域医療体制とその評価のあり方に関する研究」より

逆に言えば
精神科病院の入院患者の3人に1人は、適切な住居や支援があれば、退院できるのです。

本来であれば入院治療の必要性がないにも関わらず
社会的な理由で入院せざるを得ないことを「社会的入院」と言います。

病院で、社会的入院をしている人たちを実際に見てきたからこそ
自分に出来ることはないかなって思って、グループホームで働く選択をしました。

大それた考えはないけれど

上記で書いたようなことを他人話すと
「偉いね。よく考えているんだね」と言っていただけます。

だけど、そんなに熱量がある訳じゃないんですよ。

社会的入院をしている患者さんを見てきて
「なんか嫌だと思ったから」くらいなものです。

哲学者パスカルの
「人生は壮大な暇つぶし」
という言葉が好きなくらいには、熱いモノは持ってないです。

福祉の現場にいると、政治に物申したがりな熱量高めな人に出会うけど
自分はそう言ったタイプではないです。

政治に関しては
お気に入りの政党に1票を投じる以上のことはしたくないです。

何か強い思想がある訳でもないです。

新しく出来た方がいい法律もあるのだろうけど
現状の法律で、目の前の人が救えない、ということはありません。

政治にとやかく言うよりも、まだまだ自分がやるべきことがあると思っています。

大きいことをしたい訳じゃないし
そこまでの熱量がある訳じゃないです。

ただ、やっぱり社会的入院のない世の中にしたいって思うから
自分に出来ることとして、グループホームで働くという選択をしているだけです。

ただ、空を一緒に見たいだけ

最近、よくグループホームの利用者さんと空を見ています。

今日も作業所に送り出す前に、一緒に空を見てました。

秋晴れの空が、本当に綺麗でした。
この青が、宇宙の果てまで続いているんじゃないかって思うほどの
深い青でした。

上の写真は、その時に撮った青空の写真です。

とても綺麗です。

よく一緒に空を見上げる利用者さんは、精神科病院に何年も入院していた方です。
入院中は、ずっと隔離治療(患者の意思で病室の外に出られないようにすること)をされていたらしいです。

隔離室って、本当に陰湿で閉鎖的な空間なのですよね。
無機質な壁と天井に囲まれているだけの部屋です。

もちろん、精神疾患の症状が強い時に、隔離の処遇が必要なこと分かっています。

必要だったとしても、自分が隔離室に入れられたら
1日で嫌になって絶望する
だろうなって思います。

一緒に空を見上げる利用者さん
きっとたくさんの窮屈な思いをしてきたのだと思います。

そんな利用者さんと一緒に

空を見上げて、綺麗だなって思いを共有すること

それは、自分にとってはこれ以上ないくらい幸せなことです。

その利用者さんが、私がグループホームの独立する時に
空の絵をプレゼントしてくれるそうです。

「頑張って絵を描いてたよ」と他のスタッフさんが教えてくれます。

どんな絵ができるか、楽しみです。

スマートな仕事じゃないかもしれないけど

グループホームの仕事
おしゃれなオフィスで、スマートなサービスを提供するような仕事じゃないけれど

スーツ着なくていいし
組織的な忖度もしなくていいし
自分にとっては、合っているかなって思います。

上記のように
障がい者グループホームで働くことに対して、大それた考えがある訳じゃないです。

そんなに高尚な気持ちもないし、高尚なことをしているつもりもないです。

ただ、自分が必要だと思えることをやっているだけ。

まぁ、それくらいがいいのかなって思います。

変に気持ちが強くなりすぎても
気持ちばかりが先行してしまう気がするから。

その結果、目の前の困っている人が見えなくなってしまうと思うから。

「人生は壮大な暇つぶし」の中で、自分が価値があることをやっているだけ。

その、自分の価値が

社会的入院を減らしたい

キレイな空を、利用者さんと一緒に見たい

ただ、それだけのこと。

だけど、自分にとっては価値のあること

高い熱量はないかもしれないけど
自分のやりたいことには嘘をつかず
今日もグループホームの仕事をしていきたいと思います。

 

少しずつ、ブログも更新していきますので、良かったら読んで下さい^ ^